2021.06.28 注意点・ポイント
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/08/27

外国人を雇用するには?|メリット・注意点・手続き

外国人を雇用するには?|メリット・注意点・手続き

目次

  1. 外国人雇用とは?種類やニーズの高い職種をご紹介
    1. 増え続ける外国人労働者
    2. 外国人の雇用方法
    3. 外国人労働者は製造業が最多
    4. 日本に多い外国人労働者はベトナム人
  2. 外国人雇用をするメリットは「労働力」と「発想力」
    1. 若い労働力を確保できる
    2. 「新しい発想」で組織を活性化
    3. 海外進出や現地雇用のパートナーに
  3. 外国人雇用の注意点は「言葉の壁」と「事務処理」
    1. 母国語しか話せない時の「言葉の壁」
    2. 文化の違い
    3. 日本人雇用にはない事務処理
  4. 外国人雇用手続きのポイント
    1. 代表的な募集方法
    2. 雇用条件の確認
    3. 雇用契約
    4. 入社後の環境整備
  5. まとめ

飲食店やコンビニなどを利用する際、外国人のスタッフに接客をしてもらった経験はありますか?
少子高齢化がきっかけとなり、多くの企業で人手不足が叫ばれています。
中には、働き手がいないことで倒産してしまう企業も。
この時代において、積極的なグローバル人材の獲得は、企業存続、成長のための支えの一つと言えるでしょう。
「日本人の雇用とは違う手続きがあって、面倒そう」
「言葉の壁や文化の違いが心配」
といった理由で、外国人雇用に消極的な企業もあるでしょう。
しかし、雇用形態が多様化したことで、それぞれの企業にマッチした外国人労働者の雇用方法や人材が見つかるかも知れません。
この記事では、外国人雇用の概要やその方法について解説します。
メリットや注意点を踏まえ、外国人雇用に向けて一歩踏み出しましょう。

1.外国人雇用とは?種類やニーズの高い職種をご紹介

増え続ける外国人労働者

厚生労働省が発表したデータによると、2020年の10月末において、外国人労働者は172万人を超えています。
前年と比べて6.5万人増加し、過去最高を更新しました。
企業がとる人材確保の手段として、外国人雇用が定着していることがわかりますね。
彼らはどのような形態で雇用されているのでしょうか。

外国人の雇用方法

外国人労働者の需要が増えた現代では、その雇用方法も多様にあります。
日本人と同様に正社員や期間工、アルバイトとして採用する方法や、技能実習生として受け入れる方法、派遣社員として派遣会社から派遣される方法など。
留学生をフルタイム社員として採用できないなど、それぞれの在留資格や雇用方法に応じた制約もあります。
法律や規定を確認の上、自社の募集内容にあった雇用方法を選びましょう。

外国人労働者は製造業が最多

業種別で見ると、外国人労働者の数および、彼らを雇用する事業所の数は、ともに「製造業」が最多となっています。
外国人労働者全体の28%、彼らを雇用する事業所全体の19%を、製造業が占めているのです。
また、近年増加しているのが、「建設」「小売」「医療・福祉」の分野。
日本国内での外国人人材需要が高まるにつれ、日本語力が高い外国人労働者の数も増えています。
販売員や介護スタッフなど、コミュニケーションが必要な職種でも、彼らの活躍が期待されているのです。

日本に多い外国人労働者はベトナム人

国籍別に見ると、ベトナムからの労働者が約26%で最多となっています。
これは、ベトナムで日本製の中古家電や単車が流通しており、国同士の距離も比較的近く、日本語を学ぶ文化があるなど、彼らが日本に親しみを感じているという点が大きいでしょう。
また、勤勉、手先が器用といった、日本と共通する国民性を持ち合わせています。
このような背景から、ベトナム人労働者は、広く日本で受け入れられているのです。
国籍別の割合は、次いで中国人が約24%、フィリピン人が約11%となっています。
近年では、ネパール人も増加傾向にあるようです。

2.外国人雇用をするメリットは「労働力」と「発想力」

それでは、彼らを雇用することによって、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
具体的に確認していきましょう。

若い労働力を確保できる

日本の人材不足は、少子高齢化に起因しています。
業界によっては、若年層をターゲットに募集をしても、なかなか人材が集まらないのです。
外国人労働者は、技術を身に付けることやお金を稼ぐことに貪欲です。
彼らは、現代日本の若年層にはあまり見られない、ハングリー精神や高いバイタリティを持って来日します。
意欲的に働く外国人労働者は、日本企業の人手不足解消を担う貴重な労働力なのです。

「新しい発想」で組織を活性化

彼らは、日本で生まれ育った私たちが考えつかないような発想をします。
時としてそれは、新鮮で社内を活性化させるような意見となるでしょう。
文化レベルで違う視点からの発想が、企業の課題や成長の芽を見つけるチャンスとなるのです。

海外進出や現地雇用のパートナーに

既に海外に進出している企業にとって、進出先の国の出身者を雇用することは、その労働者が帰国した際に、現地での即戦力になり得ます。
また、今後海外進出を睨んでいる企業にとっても、情報収集のサポーターとして、また進出時のナビゲーターとして、彼らの活躍が期待できるでしょう。

3.外国人雇用の注意点は「言葉の壁」と「事務処理」

そうは言っても、外国人を雇用する際には、いくつかの注意点があります。
この章では、その内容について具体的に紹介しましょう。

母国語しか話せない時の「言葉の壁」

言葉の壁の問題は、これまで外国人雇用をしたことがない企業の方でも、容易に想像できるかと思います。
実際に、来日したての外国人労働者は特に、日本語レベルに不安があることが多いです。
外国人労働者が片言の日本語を話しても伝わらなかったり、逆に日本人社員の指示が聞き取れなかったり。
現代は、翻訳に便利なアプリやウェブサイトがあります。
それらを駆使してコミュニケーションを図りましょう。
また、日本人の社員が平易な日本語を使うことも大切です。
「ゆっくり」「短く」「です、ます調」「標準語のイントネーション」で発話すると、外国の方には聞き取りやすいでしょう。
途中や最後に、「わかりますか?」と尋ね、相手の反応をうかがうのもいいですね。
また、通達や掲示物も、彼らに関わる内容であれば、すべて外国語を併記する必要があります。
外国人労働者も、日本で働く期間が長くなるにつれ、徐々に円滑なやりとりができるようになります。
日本人、外国人の双方が歩み寄ることで、社内のコミュニケーションも活性化するでしょう。

文化の違い

日本人同士の間には、「暗黙のルール」のような、お互い言葉にしなくても通じ合う部分があります。
生まれ育った文化が違う外国人労働者にとっては、それらを全て理解することは難しいでしょう。
「チャイムが鳴るまでは仕事をしましょう」
「休憩に行くときや帰るときは、声をかけましょう」
「香りの強い香水は、仕事にはつけてこないで下さい」
といったように、入社前の研修やOJTで、一つひとつ言葉にして、伝えていく必要があります。
多くの場合、悪意はなく、日本での働き方になじんでいないだけです。
彼らの自尊心を傷つけないような伝え方をすれば、素直に聞き入れてくれるケースがほとんどなのです。
経営者や日本人社員も、彼らの文化や信仰に理解を深めることができれば、よりよい関係を築くことができるでしょう。

日本人雇用にはない事務処理

外国人労働者を雇用する際は、日本人雇用の時にはないような書類や手続きが必要になることもあります。
それに加えて、書類チェックのポイントも異なります。
これらの手続きや確認を怠ると、例え故意ではなかったとしても、懲役や罰金による処罰の対象となるのです。
対策として、事前に手続きの内容と注意点を押さえておくことが必要です。
次の章で、外国人雇用の流れや手続きについて確認しましょう。

4.外国人雇用手続きのポイント

代表的な募集方法

代表的な募集方法は、次のようなものがあります。
まずは、日本人募集の時と同様に、ハローワークや求人広告に掲載する方法。
その中でも、日本で働きたい外国人と日本企業とのマッチングに特化したサイトを活用すれば、より効率的に人材を募ることができます。
次に、外国人が多く在籍する派遣会社に依頼する方法。
自社での採用が難航している場合や、求人広告に多額の費用を掛けられない場合に有効です。
また、外国人労働者はSNSで仕事を探すことも多いです。
仕事内容や社内の様子を掲載した自社SNSを活用することで、採用にかかるコストを大幅に削減することができるでしょう。
他には、技能実習生として受け入れる方法も有効です。
こちらは、「企業単独型」と「団体監理型」に分かれ、97%の企業が、後者の監理団体を通した技能実習生の受け入れを採用しています。
監理団体が提携する海外の送り出し機関に、実習生候補者の選定を依頼し、募集する流れとなります。
最後に、有料職業紹介会社を利用する方法です。
介護や外食など、深刻な人手不足が懸念される14業種では、特定技能制度を活用して外国人を受け入れることが可能です。
求人を募り、採用が決定した際に仲介料を支払う、という仕組みです。
アフターフォローや補償の体制が整っている紹介会社を利用すれば、外国人雇用の経験がない企業でも安心ですね。

雇用条件の確認

無事採用が決まれば、雇用条件をあらためて確認しましょう。
どの募集方法でも、募集要項の中に、ある程度詳細な仕事の内容や条件が記載されています。
それぞれの項目について、双方の認識のミスマッチがないか、契約前に確認しましょう。
この時に併せて行っておきたいのが、原本での在留カード確認です。
在留資格の種類によって、日本で働ける条件が異なるのです。
在留資格は今回の募集内容に沿った種別か、就労が認められているか、在留期間は過ぎていないか、などをチェックしましょう。
国外にいる労働者を新規で招いたり、ビザを変更する必要があったりする場合は、手続きに1ヶ月以上の時間がかかることも。
採用の計画に合わせ、スピード感を持って手続きを始める必要があります。

雇用契約

雇用契約を結ぶ際は、日本人を雇用する書面と同じで問題ありません。
ただ、可能であれば、採用する外国人の母国語で書かれた書面や、フリガナがついた簡単な日本語表記のものを準備しましょう。
外国人労働者も内容が確認しやすく、トラブル防止につながるでしょう。
これから外国人向けの雇用契約書を作成する企業は、厚生労働省が公開する契約書の例があるので、そちらを参考にするのもいいですね。
厚生労働省 外国人向けの雇用契約書例
住居の手配が必要な場合は、物件探しや生活インフラの整備に時間を要するため、入社日が決まった段階で準備を始めましょう。

入社後の環境整備

入社後、一番大きな課題となるのが、コミュニケーションの問題です。
対応をおろそかにすると、社員同士のトラブルや違法行為につながりかねません。
通訳を雇い入れる、母国語の掲示物や作業手順書をあらかじめ作成しておくなど、会話や仕事の指示が円滑に伝わるように、準備をしましょう。
ただし、外国人労働者だからと言って、過度に特別な扱いをする必要はありません。
日本人社員と同様に考え、企業に定着する方法や、活躍を促す施策やイベントを実施しましょう。

5.まとめ

今回は、外国人雇用について解説しました。
外国人労働者を受け入れたことがない企業にとっては、言葉や文化の壁があることや、特別な事務処理が必要な点は、どうしても抵抗があるかも知れません。
しかし、長期的な視点で見ると、人材確保や新しい発想など、リスクを上回るメリットも大きいのです。
外国人労働者を、低賃金で雇える労働力と捉えず、適切なフォローで彼らに歩み寄る姿勢が大切です。
外国人雇用を成功させることが、企業が飛躍するきっかけの一つとなるでしょう。

【出典】
厚生労働省 「外国人の雇用」
厚生労働省 「我が国で就労する外国人のカテゴリー」
厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ
厚生労働省 東京労働局 「よくあるご質問 外国人雇用関係」