2021.07.08 ビザ・在留資格
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/10/18

14業種/分野・職種まとめ|在留資格「特定技能」

14業種/分野・職種まとめ|在留資格「特定技能」

2019年に新設された在留資格「特定技能」をご存知でしょうか。
「技能実習生は知っているけれど、何か違うの?」と思われる方もいるかも知れませんね。
「技能実習」と「特定技能」は似ているところがありますが、仕組みや対象が大きく異なるのです。
日本の労働力確保のための在留資格、「特定技能」は今、外国人材市場でも注目を集めています。
対象となる業種・職種は14分野に渡りますので、1つずつ解説します。

目次

  1. 注目の在留資格「特定技能」とは?
    1. 「特定技能」は、労働力確保のための在留資格
    2. 技能実習制度とは目的が異なる
  2. 種類別で見る特定技能
    1. 特定技能1号
    2. 特定技能2号
  3. 特定技能1号受け入れ可能分野“14業種・職種”をご紹介

注目の在留資格「特定技能」とは?

「特定技能」は、労働力確保のための在留資格

現在、日本は深刻な労働力不足に陥っています。
国全体の高齢化が進み、国内における若年層の労働力獲得競争は、激化しているのです。
採用をご担当されている方は、いかにして人材を取り込むか、日々苦慮されているかも知れませんね。
政府としても、特に中小企業に おける深刻な人手不足から、日本の経済や社会基盤の維持が難しくなる可能性があると感じているのです。
そこで2019年に新しく新設された在留資格が「特定技能」です。
この制度は、一定の専門性や技術を持った即戦力を、労働力として採用することができるのです。

技能実習制度とは目的が異なる

よく似た名前で、「外国人技能実習制度」がありますが、こちらは、実習生が祖国に技術を持ち帰ることで、その国の経済成長を促す、国際貢献を目的とした制度です。
人手不足を補う目的の特定技能とは、根本的な性質が異なる点に、注意しましょう。

種類別で見る特定技能

特定技能には、2種類の在留資格があります。

①特定技能1号

②特定技能2号

それぞれの在留資格のポイントを確認しましょう。

特定技能1号

特定技能1号とは、特定の業種・分野において「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」に従事するための、外国人向けの在留資格です。
在留期間は1年(6か月もしくは4ヶ月ごとの更新)とされており、通算で上限5年までの在留が認められています。
専門技術や日本語能力については試験等で確認されるため、一定水準以上の外国人を受け入れることができるのです。
また、技能実習2号を良好に修了した技能実習生については、実習分野と特定技能の分野に関連がある場合、試験が免除されます。
関連が認められる分野については、法務省出入国管理庁作成の 「特定技能ガイドブック」に記載されています。 家族の帯同などは認められていないため、労働者単身で来日することとなります。
また、1号については登録支援機関の支援対象となります。

特定技能2号

特定技能2号とは、特定の業種・分野において「熟練した技術を要する業務」に従事する外国人向けの在留資格です。
広い分野で受入れが可能とされる1号に対し、2号は2分野のみとなっております。

・建設
・造船・舶用工業

在留期間の定めはありませんが、1年もしくは6か月ごとの更新が必要です。
また特定技能1号、2号等で10年間日本に在留することにより、日本での永住権が得られる可能性が高くなります。
特定技能2号になるには技術水準を確認する試験のみで、日本語力の水準確認は不要とされています。
一定要件を満たせば、配偶者や子供などの家族を帯同することができます。
また、1号と異なり、登録支援機関による支援は対象外とされています。

特定技能1号受け入れ可能分野“14業種・職種

特定技能1号受け入れ可能分野“14業種・職種を紹介

特定技能1号で受け入れることができるのは、次に挙げる14業種・職種と規定されています。
順番に確認しましょう。

介護業

管轄:厚生労働省
最大受入れ人数:60,000人(全業種の中で最多)

介護分野では、入浴や食事、排せつの介助から、レクレーションの実施や機能訓練の補助などの業務に従事します。
介護は、少子高齢化の影響により、深刻な人手不足に陥っている分野の一つなのです。
特定技能として受け入れるためには、利用者の状況に応じた介護の能力や知識について、一定レベル求められます。
また、日本語についても、ある程度の日常会話力を必要とされます。
今後も、介護分野の人材需要が高まることは間違いありません。
特定技能で外国人材を受け入れる基盤を作ることは、日本の将来の介護福祉を支える、一つの柱となるでしょう。

ビルクリーニング業

管轄:厚生労働省
最大受入れ人数:37,000人

ビルクリーニング業界は、9万人の人手不足が懸念されています。
この背景には、業界全体の賃金水準が低いことや、仕事の多様化による、他業種への人材流出が考えられます。
厚生労働省が、ビルクリーニング受入機関36社に調査をした結果、25社が既に外国人材を採用していました。
受入れ企業によると、5年間の労働で長期的なキャリアプランを立てやすい、コミュニケーションが図れる、といった点をメリットに感じています。

素形材産業

管轄:経済産業省
最大受入れ人数:21,500人

鋳造、鍛造、金属プレスなどに関わる分野。
日本の主力産業である、自動車のパーツや部品に関わる仕事であり、日本経済の柱の一つとなる産業です。

産業機械製造業

管轄:経済産業省
最大受入れ人数:5,250人

建設・農業・工業・木工など、各産業に関わる機械を製造する分野。
製造全体に関わることはもちろん、社会インフラを整備するためにも、必要不可欠な存在です。

電気・電子情報関連産業

second

管轄:経済産業省
最大受入れ人数:4,700人

電子部品を製造する分野。
テクノロジーの進歩に伴い、ITやAIなどの産業で、需要が急速に高まっています。
上記の製造3業種は、共通して製造分野特定技能1号評価試験が課されます。
日本のものづくりは、女性の社会進出、高齢人材の受け入れ、IT化など、時代に合わせた新たな取り組みをすることで、生産性を拡大してきました。
しかし、大企業・中小企業を問わず、人材は不足しているのです。
日本が受け入れる外国人労働者の数は、業種別に見ると製造業が最多となっています。
今後も更なる、外国人材のニーズが見込まれるでしょう。

建設業(特定技能2号での受入れも可能)

管轄:国土交通省
最大受入れ人数:40,000人

いわゆる“大工さん”だけにとどまらず、型枠、左官、とび、鉄筋、配管など、建設に関わる全ての職種において、職人の高齢化、人手不足が顕在化しています。
かつて急成長を遂げた日本においては、今後予想されるインフラの老朽化にいかに対応するかが、今後の課題と言えます。
国を挙げて人材を確保する必要があり、外国人材の需要も高まりを見せています。

造船・舶用工業(特定技能2号での受入れも可能)

管轄:国土交通省
最大受入れ人数:13,000人

造船分野の人手不足は、その業界の特性上、産業の中心地が地方に多いことに起因します。
都市部への人口流出により、高齢化が危惧されているのです。
船舶溶接の職種においては、すでに外国人材の活用がなされています。

自動車整備業

管轄:国土交通省
最大受入れ人数:7,000人

自動車整備工場での、点検や分解などの業務に従事します。
整備士は自動車産業における重要な存在ですが、自動車整備士の平均年齢が45歳と高齢化しており、業界全体は売り手市場の傾向が続いているのです。
その背景には、若者の車離れや、整備士の待遇に課題がある点がネックとなっています。
国内人材を集めにくい状況にあるため、外国人材は年々増加しています。

航空業

管轄:国土交通省
最大受入れ人数:2,200人

空港において、グランドハンドリング業務(航空機の誘導・手荷物の取り扱い・客室清掃など)、航空機整備業務を行います。
訪日外国人旅行者の増加に伴い、航空業界全体の人材ニーズが高まったことから、人手不足の傾向にありました。
政府としても、今後さらなる観光の活性化を目標に掲げており、外国人旅行者は増える見込みです。
それに伴い、外国人材の需要もさらに高まるでしょう。

宿泊業

管轄:国道交通省
最大受入れ人数:22,000人

宿泊施設において、フロントやレストランでの接客など、宿泊サービスの提供全般に関わります。
コロナ前においては、訪日外国人旅行者が増加したことにより、宿泊施設の人手不足が常態化しました。
現状ではコロナウィルス蔓延対策として、外国人の入国を制限する水際対策が講じられており、外国人観光客がほぼ入国できませんので、宿泊業界の人材不足はほぼ消滅していますが、今後のワクチン普及による蔓延の沈静化後には、再度外国人観光客の大量入国が予想されますので、外国人材の活用の準備が求められます。

農業

管轄:農林水産省
最大受入れ人数:36,500人

農業において、労働人口の減少、高齢化は、深刻な問題となっています。
農業は、農機具の購入や修繕などでコストがかかる上、天候や天災による収入のバラつきがあります。
このようなリスクに加え、重労働のイメージがあり、安定志向の若者から敬遠されてしまうのです。
農業分野における特定技能は、直接雇用の他に、派遣事業者から派遣してもらうことも可能です。
また、繁忙期に就労し、閑散期に母国に帰国するなど、入国後10年目までの間で、通算5年間となるような働き方も認められています。

漁業

管轄:農林水産省
最大受入れ人数:9,000人

漁業は農業と同様に、労働者の高齢化が深刻な問題となり、人手不足に歯止めがかからない状況です。
業界全体が低所得であり、漁船の維持や消耗品にコストがかかる点、また漁獲量で収入が左右される点など、構造的な問題を抱えています。
漁業の分野では、すでに外国人材の受入れに積極的に取り組んでいます。
農業と同様、派遣としての雇用形態も認められており、多様なニーズに柔軟に対応できる人材として、期待が寄せられているのです。

飲食料品製造業

管轄:農林水産省
最大受入れ人数:34,000人

酒類を除く、飲食料品製造全般の製造・加工、安全衛生に従事します。
お菓子やパンについては、製品を小売りすることも認められています。
業界としてIT化が進んでいるものの、手作業や目視確認など、機械化できない部分があるため、外国人材が必要とされています。
現時点で、特定技能外国人受入れの最大の業種となっております。

外食業

管轄:農林水産省
最大受入れ人数:53,000人

テイクアウト専門を含む、飲食店や料理店での仕事が対象です(コンビニを除く)。
コロナ前においては、訪日外国人旅行者が増加したことにより、宿泊施設の人手不足が常態化していました。
また訪日外国人が増えたことで、外国人従業員による接客対応のニーズが高まりました。 外国人旅行者が訪れる観光地の中でも、地方では働き手が少なく、外国人材に大きな期待が寄せられていました。
しかし現状では、新型コロナウィルス蔓延による緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の発令により、外食産業に対する強烈な規制がかかっていること、およびコロナ蔓延防止制作対策としての外国人入国制限対策(水際対策)により、宿泊業界の人材不足は全く無くなっています。
しかし、今後世界的なワクチン普及によってコロナ感染が沈静化し、移動制限や会食に対する制限が解かれた後には、外食産業も再び活気を取り戻し、深刻な人手不足が戻ってきますので、外国人材の活用は避けては通れないと思われます。

【まとめ】

新しい在留資格「特定技能」の新設により、外国人材の活躍の幅が大きく広がりました。
今後、各業種・分野での需要がさらに高まり、優秀な人材の獲得競争が予想されます。
これまで外国人の採用を検討していなかった企業も、彼らを受け入れることで、企業が抱える問題を解消するきっかけとなるかもしれません。
これから迎える新しい時代に向けて、外国人材の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

【出典】

法務省 出入国在留管理庁|特定技能制度

法務省 出入国在留管理庁|「特定技能ガイドブック」

ITCO 公益財団法人 国際人材協力機構|在留資格「特定技能」とは

法務省 入国管理局「新たな外国人材の受け入れについて」

厚生労働省「新たな在留資格「特定技能」について」

厚生労働省「ビルクリーニング分野における特定技能制度に係る啓発資料」

経済産業省「製造業における人手不足の現状および外国人材の活用について」

国道交通省「航空分野における新たな外国人材の受け入れについて」

農林水産省「特定技能外国人の受入れが始まりました!」

農林水産省 食料産業局「飲食料品製造分野・外食業分野における特定技能外国人受入れの制度について」