2021.07.14 技能実習
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/07/16

技能実習生の派遣は禁止|派遣と技能実習の違い

技能実習生の派遣は禁止|派遣と技能実習の違い

ここでは技能実習と人材派遣の違いを解説します。また、人事が外国人を採用するにあたり何をすればよいかまとめています。

目次

  1. 技能実習の人材派遣が禁止されている理由
  2. 技能実習と人材派遣について
    1. 技能実習について
    2. 外国人人材派遣について
  3. 技能実習生を利用するか、人材派遣を利用するか
  4. 人事が検討しなければいけないこと
  5. 技能実習生・人材派遣以外の外国人採用について
  6. 技能実習生の受け入れで想定されるトラブル
  7. まとめ

1.技能実習の人材派遣が禁止されている理由

技能実習生の派遣はできません。
外国人技能実習制度は、日本が先進国としての役割をはたしつつ、国際社会との調和のある発展を図っていくために、国が導入した制度です。発展途上国の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としています。人材の不足の解消を目的とする人材派遣とは目的が違うため、技能実習生の派遣はできないこととなっています。

2.技能実習と人材派遣について

2-1技能実習について

技能実習は、誰が技能実習生を受け入れるかで2つの受け入れ方法があります。

  • 企業受け入れ型
    企業等が海外の現地法人の職員を直接受け入れて技能実習を実施する形態。
  • 監理団体受け入れ型
    監理団体が技能実習生を受け入れ、監理団体に登録した企業において技能実習を実施する形態。

技能実習のスタート時は、2か月間の座学講習が義務づけられています。但しほとんどのケースにおいては、送り出し国で1か月の講習を済ませることによって、入国後の講習が1か月免除され、入国後講習が1か月実施されています。
入国後の座学講習後は、いよいよ雇用先での技能実習が始まり、来日1年経過のタイミングでは技能評価試験を受け、合格することで、技能実習1号のロ(もしくは技能実習1号のイ)から技能実習2号のロ(もしくは技能実習2号のイ)に変更ができるようになります。これにより、技能を習得開始した実習時間と同じ機関で、同じ技能について習熟するための訓練を受けることが引き続き可能になります。
最終的に技能実習生が日本で働くことができるのは最長で5年になります。
注意しなければならない点は、企業は技能実習生を労働力として使うのではなく、あくまでも技能取得のための実習を行うという点です。習得する技能は技能実習生ごとの技能実習計画を外国人技能実習機構に提出して認定を受け、認定を受けた技能実習計画を厳格に守った上での技能実習(技術の習得)が求められます。
技能実習生を労働力として使うわけではないですが、企業と技能実習生の間では雇用契約の締結が求められ、労働基準法の遵守も求められます。
労働ではないのに法的に「雇用」「労働」に当てはめているところがあるので、技能実習生が労働力と勘違いされる理由になっています。

2-2外国人人材派遣について

外国人人材派遣を受け入れる場合、いわゆる入管法で在留資格(技能実習ではない、技術・人文知識・国際業務など)が認められ、人材派遣会社に雇用される必要があります。その後、人材派遣会社と契約し、人材ニーズにマッチした人材を紹介いただき、人材派遣を利用することになります。

3.技能実習生を利用するか、人材派遣を利用するか

技能実習を許可されている分野の職種や作業の場合は、人材派遣を利用するのか技能実習生を採用するのか迷う場合も多いと思います。

技能実習生を採用する場合、企業単独型で技能実習生を受け入れるには相当なノウハウと管理体制が必要で、中小企業や経験の少ない企業には難しいですので、ほとんどの場合が監理団体を利用する団体監理型になります。
団体管理型の技能実習の場合は、技能実習生の渡航費、技能実習生の住居費、生活必需品を準備する費用、そして監理団体へ支払う管理費が必要になります。

ですから、実際に任せたい作業内容や、人材ニーズ、支払えるコストによって、技能実習生を受け入れるか、人材派遣に頼るべきかを判断する必要があります。

まず、技能実習生を採用する場合は、その職種・作業によって異なりますが、一般的に3年、最長で5年間技能実習生を受け入れることができます。また2019年の法改正により、技能実習3年以上の実績があれば、同職種であれば在留資格「特定技能」への資格変更もできますので、8年~10年間働くことができます。

一方で、外国人派遣社員を雇う場合は、派遣会社が人材を必要に応じて供給してくれます。
費用と多大な手間をかけて採用した技能実習生が失踪したり、途中帰国したりしてしまうデメリットがないので、人材派遣の方がよいと思われがちです。
しかし派遣の場合は派遣会社がコストを上乗せしているので人件費が3割程度高くなります。また外国人派遣の場合は、すぐに辞めてしまう傾向があるのが注意点です。
また、一般派遣は最長3年で、紹介予定派遣は最長6ヶ月です。紹介予定派遣の後に、直接雇用にすることも可能ですが、短期間で転職してしまう可能性は技能実習生よりも高いと言えるでしょう。

その点、技能実習の場合は転職ができないので、大半のケースでは同じ職場で3年間は安定して働いていただけます。

4.人事が検討しなければいけないこと

人事は技能実習生の技能の習得に役立てる内容はどのようなものがあるのかを整理しておく必要があります。技能実習制度に定められた技能実習を依頼する必要があるため、関係のない実習をするわけにはいきません。監理団体に相談しながら、次の手順で準備するのがおすすめです。

  • 現場の業務の理解
    現場にそもそもどのような業務があり、具体的にどのような作業をする必要があるのか、納期はどれくらいで設定されているのか、日本語でのコミュニケーション量はどれほど必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
  • 現場業務の分類
    技能実習生に任せられるものと、任せられないものに分けます。できるとしたものについては、どのような順で取り組めば実習効率がよいか検討してください。後に、技能実習生ごとの技能実習計画を外国人技能実習機構に提出して認定を受ける必要がありますので、早めに監理団体に相談しましょう。
  • 必要人員と人材補填までのスケジュール
    上記検討が完了すれば、何人技能実習生を受け入れられるのか、どのようなタイミングで受け入れていけば、スムーズに実習ができるかを検討しましょう。
    実際に技能実習生を受け入れる場合は、現地面接またはオンラインでの面接を経て、入国までに6ヶ月程度必要です。人員計画を立て、いつ面接し、いつ入国・配属ができるかを監理団体に相談して、計画的に技能実習生を受入れましょう。

5.技能実習生・人材派遣以外の外国人採用について

技能実習生・人材派遣以外に外国人を直接雇用する方法もあります。
しかし、入管法に定められた在留資格はとても複雑で、在留資格によって働ける職種や作業が異なります。
安易に外国人を採用して、入管法違反に問われることも多いので、外国人の採用をしたことがない場合は、外国人材に詳しい人材紹介会社や行政書士に相談して採用したほうが無難だと思います。
内定を出し、入社承諾をいただいたとしても、内定後に在留資格申請をしてもそれが入国管理局に認められなければ、働かせることができませんので注意が必要です。

6.技能実習生の受け入れで想定されるトラブル

次のようなトラブルが起こる可能性もあります。事前にトラブルとならないように検討して人材の確保を行ってください。

  • 失踪
    トラブルとして多いのが失踪です。原因は実に様々な理由からになるのですが、万一発生した場合にどのような対応を行うか検討しておきましょう。
  • 途中帰国
    3年間の契約の途中で契約を打ち切り、帰国してしまうこともあります。職業選択の自由があり、強制的に実習させることは当然にできませんので、実習生が納得して実習を受けいれる環境づくりが重要です。
  • 病気
    受け入れ前に現地で健康診断を行いますが、そこで大病が発覚するケースがあります。その場合は感染症・肺炎などが原因となっているケースが多いです。
  • 喧嘩
    実習生同士が喧嘩をし、ともに帰国してしまうケースもあります。人事として、外国人の文化を日本人に説明をし、準備を整えていたとしても、外国人同士に文化や風習の理解が乏しければハレーションを起こすリスクは残ります。
  • 金銭トラブル
    外国人同士で金銭トラブルが発生するケースが稀にあります。家賃などお金を収集するようなケースは給与天引きか、口座引き落としとするほうが無難です。

★まとめ

外国人は在留資格に応じた活動を行う必要があるので、企業は任せたい仕事を整理し、何をどの資格保有者に依頼するかを検討することから始める必要があります。
特に外国人受入れ経験がない会社は、自社で判断することは難しいの、技能実習の場合は監理団体に、人材派遣の場合は派遣会社に、その他の在留資格の場合は人材紹介会社や行政書士に相談しながら準備することをお勧めします。