2021.07.16 ビザ・在留資格
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/07/16

特定技能「外食」|外国人を外食業で雇用するためには?

特定技能「外食」|外国人を外食業で雇用するためには?

最近レストランで外食をした時に、外国人スタッフに接客をしてもらった経験はありますか? 彼らの在留資格は様々ですが、その中には、「特定技能」の在留資格で働いている外国人労働者もいます。 実は外食業界において、特定技能による人材の受入れは、年々活発になっているのです。 特定技能制度は、企業の人材不足解消のカギを握る制度です。 今回は、外食業における特定技能とその雇用方法についてご紹介します。

目次

  1. 外食業界のニーズを支える特定技能
    1. 特定技能が対象になった背景
    2. 対象となる仕事は「外食業全般」
    3. 「接待」などはNG
  2. 外食分野における特定技能ビザの取得要件
    1. 技能試験の合格
    2. 日本語試験の合格
  3. 受入れ機関に求められる条件
    1. 適切な雇用契約
    2. 適切な支援
    3. 協議会への加入
  4. まとめ

1外食業界のニーズを支える特定技能

特定技能制度とは、一定水準の技術と日本語能力を持った外国人材を受け入れる制度です。 2019年、国が労働力不足解消のために打ち出し、特に人材が不足する14分野において、受入れが認められることとなりました。 外食業界もその一つで、積極的な制度の活用に取り組んでいます。

1-1 特定技能が対象になった背景

外食業界が特定技能の対象となった背景には、二つのポイントがあります。
一つは「人材不足」、もう一つは「訪日客の増加」です。

人材不足

業界全体で自動化やIT化が進むものの、外食業は臨機応変な対応が求められることが多く、一定数の従業員は必要です。 しかし、立ち仕事や長時間労働など、体力的に厳しい一面もあり、慢性的な人手不足となっているのです。 従業員の多くがパートや学生アルバイトで成り立つ店舗も多く、人材が定着しづらいというマイナス点も。 加えて、業界別に見た平均年収が低く、休みがとりづらい、世間の休みに繁忙期を迎えるなど、環境や待遇において、課題が多くあるのが現状です。

訪日客の増加

政府がインバウンドへの取り組みに積極的であることから、更なる増加が見込まれています。 現在は、新型ウィルスの蔓延により、需要は抑制されています。 しかし、ウィルスが収束した頃に、あらためて外食業界の人材需要が高まることは確実でしょう。 客層が変化することで、顧客ニーズも多様化していきます。 特定技能労働者を受け入れることで、それらのニーズに対応することができます。 また、都市部から離れた地方では、人口流出により、慢性的な人手不足に陥っています。 その打開策として、即戦力となる特定技能労働者の受入れが注目されているのです。

1-2 対象となる仕事は「外食業全般」

特定技能の受入れ対象として認められている業種・業務は、「外食業全般」に渡ります。 レストランに限らず、ファストフード店やカフェ、テイクアウト専門店、給食サービス事業などでも、受入れることができるのです。 また業務内容も、調理、接客、店舗管理や仕入れ業務など、多岐にわたります。

1-3「接待」などはNG

風営法に規定される営業所での就労や接待は、特定技能労働者の就労先として認められていません。 接待とは、風営法で「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。 バーなどカウンター越しの接客でも、特定の客についてお酌をしたり、談笑を続けたりといった行為は、接待に当たるとされています。 また、外食業に付随する業務として、デリバリー業務や皿洗い業務を行うことは認められていますが、これらの業務のみに従事させることは禁止です。 さらに、「コンビニ業種」については現状、特定技能労働者を受け入れることができないとされています。

2 外食分野における特定技能ビザの取得要件

特特定技能は、1号と2号に分類されますが、外食分野で受け入れることができるのは特定技能1号のみです。 また、特定技能として就労するためには、18歳以上であり、技能試験と日本語の試験、両方に合格する必要があります。

2-1 技能試験の合格

こちらは、外食に関する技術水準と、業務に必要な日本語の水準を確認するための試験です。 「外食業特定技能1号技能測定試験」(主催:一般社団法人外食産業技能評価機構https://otaff1.jp/)を受験します。 試験は国内外で実施されます。 食品衛生や調理、給仕といった業務についての知識が問われるのです。 またこの試験では、外食業で必要とされる日本語力についても確認されます。

2-2 日本語試験の合格

日本語能力の水準は、日常会話ができ、支障なく日本での生活が送れるレベルが求められます。 日本語試験も国内外で実施され、「日本語能力試験(JLPT)」(主催:独立行政法人国際交流基金/日本国際教育支援協会)、もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JTF-Basic)」(主催:独立行政法人国際交流基金)を受験します。 また、これらの試験とは別に、「医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を良好に修了することで、外食分野で特定技能活動が可能です。 仮に他職種の技能実習であっても、2号を修了していれば、特定技能における日本語試験は免除されます。 このように特定技能は、試験をクリアする、もしくは技能実習を修了することで、知識と日本語力が一定水準以上であることを確認できます。 外国人労働者の受け入れ経験がない企業にとっては、彼らのスキルやコミュニケーション力に対する不安を、和らげることができますね。

3.受入れ機関に求められる条件

3-1 適切な雇用契約

採用決定後は、特定技能労働者との間で、適切な雇用契約を結ぶことが大前提です。 その中でも特に注意したいのが、次の二点です。

直接契約

外食分野での特定技能受け入れは、直接契約のみ可能です。 派遣契約や請負契約など、間接的な方法で雇用することはできません。

日本人と同等以上の待遇

報酬を含めた、福利厚生や待遇面では、同じ仕事をする日本人と同等以上にしなければなりません。 外国人であることを理由とした、差別的取り扱いは禁止されています。
参考:「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」の第1条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=431M60000010005 過去に日本では、外国人を低賃金で雇用することが社会問題となりました。 特定技能の受入れを検討する企業は、「安く雇える労働力」という認識でいると、トラブルにつながる恐れがあります。
「グローバル人材」として、日本人労働者と同じだという認識を持つ必要があるのです。

3-2 適切な支援

特定技能で労働者を受け入れるためには、彼らへの支援が法律で義務付けられています。 入国前に契約や活動の内容をガイダンスすることから始まり、出入国時の送迎、生活支援、知識や情報の提供など、その内容は多岐にわたります。 このような支援を、彼らが十分に理解できる言語で行う必要があるのです。 企業自身がこの支援体制を整えるか、もしくは「登録支援機関」に委託する必要があります。

3-3 協議会への加入

受入れ企業は、特定技能の受入れから4ヶ月以内に、「食品産業特定技能協議会」の構成員にならなければなりません。 これは、企業同士の情報共有や、不正予防、また、特定技能の受入れ状況を把握するといった目的で、農林水産省が運営する組織です。 特定技能制度の懸念点として、特定技能労働者が大都市圏に過度に集中することが挙げられます。 協議会は、全国的な人材状況を把握し、制度関係機関や外食業界団体などと連携することで、地方の人手不足に対応するといった役割もあります。

4.まとめ

外食業における特定技能は、深刻な人手不足の解消と、訪日客の増加に対応できる人材として、注目を集めています。 グローバルな人材を活用することは、新しい視点での気付きを得たり、即戦力となる労働力を確保できたりと、企業としてのメリットも大きいのです。 特定技能制度を活用することで、企業が成長するチャンスを掴むことができるかも知れません。

【参考】
農林水産省「外食業分野における外国人材の受入れについて」 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/gaikokujinzai.html 農林水産省食料産業局「外食業分野における新たな外国人材の受入れについて」 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/gaikokujinzai-103.pdf 農林水産省「食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について」 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/kyougikai.html