2021.07.19 ビザ・在留資格
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/08/03

特定技能「漁業」|外国人を漁業で雇用するためには?

特定技能「漁業」|外国人を漁業で雇用するためには?

目次

  1. 特定技能とは
    1. 特定技能1号、2号とは
    2. 漁業 特定技能人材の基準
  2. 従事可能業務
  3. 受け入れまでの流れ
    1. 受け入れのために満たすべき条件
    2. 人材の探し方
    3. 雇用契約を結ぶ
    4. 支援計画の作成
  4. 漁業特定技能協議会への加入
  5. まとめ

特定技能とは

特定技能とは日本の企業の人手不足を解消するための在留資格の一つです。各省庁が選出した人手不足である業界ごとに一定の基準がありますが、在留資格特定技能の創設により、特定技能外国人の受け入れがはじまりました。

特定技能1号、2号とは

特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」が存在します。

特定技能1号の在留期間は計5年になっています。同じ分野での在留資格では5年を超えての日本在留は不可能になっています。
特定技能2号では要件を満たしていれば更新することが可能です。さらに更新の回数も制限がありません。特定技能2号の就労者であれば日本で特定の産業の担い手になる可能性もあります。

しかし現在漁業は特定技能1号の対象ではありますが、特定技能2号には該当しません。したがって漁業で外国人の受け入れを行う場合は通算5年間の期間限定になります。
計5年というのは、繁忙期限定での受け入れをすることで長期間の受け入れをすることも可能です。例えば、半年受け入れを行い、半年帰国してもらうという形式をとると計5年の受け入れの場合、10年間業務に就いてもらうことが可能です。仕組みを理解して特定技能の制度を活用していきましょう。

漁業 特定技能人材の基準

漁業分野で特定技能1号として受け入れするには二つの基準を満たした外国人を雇用する必要があります。

一つ目は漁業技能測定試験に合格する必要があります。この試験には「漁業」と「養殖」の2種類があり、この試験ではそれぞれに関する知識や技能を有しているかを確認します。受け入れを検討する人材が職場の業務に適した試験に合格しているかよく確認しておきましょう。
二つ目は日本語の試験である「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験でN4以上」に合格する必要があります。日常会話や生活に支障をきたさないかを判断します。
この二つの基準を満たした人材(二つの試験に合格した人材)が特定技能「漁業」を取得することが可能です。

さらに特定技能1号の受け入れにおいてもう一つ方法があり、漁業分野の技能実習2号を特に問題なく修了した者であれば上記の二つの試験をパスすることができます。現在はこの技能実習2号から移行する方法が主流です。

現時点では前述の二つの基準を満たしている人材(二つの試験に合格した人材)が少なく、技能実習で知識と経験を有し、日本の風土にも慣れている実習生がそのまま特定技能を取得するという流れが一般的です。
ここで一つ注意が必要なります。技能実習で「漁業」の分野を修了した者は特定技能でも「漁業」しか従事することはできず、「養殖」は従事することはできません。逆の場合も同じです。「養殖」の修了者は「養殖」しか従事することができません。

しかし同じ漁業分野であればほかの作業を行えます。
例えば、定置網漁業で技能実習を修了した者であっても、特定技能1号でひき網漁業の作業に従事することが可能になります。
以上のことに注意して人材の受け入れを検討しましょう。

従事可能業務

受け入れ後にどんな業務も任せてよいというわけではありません。携わってもらう業務にも決まりがあります。
水産庁ホームページ内の「特定技能外国人の受け入れ制度について」の9ページに分野ごとの担当可能業務が記載されています。


従事可能業務の中にも注意が必要な点がいくつかあります。
記載にある「主として従事させる業務」であっても外国人を船長に配置するなど業務の中で外国人がメインとして業務を行うことは禁止されています。あくまで特定技能人材は事業者側の責任者からの指示に従い働くことになります。
他にも関連業務を従事させることができますが、関連業務ばかり従事させることも禁止されています。基本的に「主として従事させる業務」に記載のある業務に従事してもらい、付随する形で関連業務を担当してもらうようにしましょう。違反してしまうと在留資格の取り消しになる場合や、事業者側にも罰則が科される可能性がありますので注意して業務の指示をする必要があります。

受け入れまでの流れ

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受け入れのために満たすべき条件

受け入れを行う際に誰でも受け入れが可能なわけではありません。人材側にも基準が存在するように雇用側にも満たたすべき基準が存在します。基準を満たしていない事業者は雇用の意思があっても受け入れはできません。

こちらも「特定技能外国人の受け入れ制度について」の5ページに事業者側に設けられた基準が記載されています。受け入れの検討をする場合にはまず自身が基準に適しているか確認してからにしましょう。

人材の探し方

基準に適していることを確認したら次に職場に適した人材を探してきます。
人材を探す場合は漁業協同組合や公共職業安定所、民間の職業紹介所に相談することでスムーズに受け入れを検討することができます。他には海外にネットワークがある民間団体や現地コーディネーターを利用するとよいでしょう。
紹介された人材が自身の事業の業務に適しているか確認しましょう。自身の事業が漁業にもかかわらず、養殖の特定技能を取得している人材を雇用してしまうなどのミスマッチが起こらないようにしましょう。

雇用契約を結ぶ

次に雇用契約を結んでいきます。
漁業の分野では事業者と直接雇用契約が可能なだけでなく、派遣としての雇用が可能になっています。
これには漁業には繁忙期、閑散期が存在しているため派遣契約で柔軟な対応を可能にするという背景があります。
特定技能は日本の人員不足解消のための制度です。外国人を低賃金で労働させるものではありません。契約する際には所定労働時間や賃金が、同じ技術を有している日本人と差がないように心がけましょう。

支援計画の作成

雇用契約が結ぶことができたら次は雇用側が特定技能外国人材に向けた支援計画を前もって作成し、計画に沿って支援を行わなければなりません。支援の内容にも規定があります。

「特定技能外国人の受け入れ制度について」の12ページに記載のある10項目を含めた支援計画が必要になります。
支援計画は異国の地で働く人材に必要な支援です。その中には日本での日常生活にかかわるものから、帰国時の送迎など幅広い内容になっています。
支援は事業者側が行う場合と、登録支援機関に依頼する場合の2パターンあります。
登録支援機関を利用すれば、事業者が作成した支援計画のすべてを行ってもらえます。漁業協同組合などが登録支援機関になる場合には、相談窓口を設置してもらえたり、生活ガイダンスを開催してもらえたり援助を受けることができます。
自ら支援計画を行うか機関に委託するかは事業者の自由になりますが、支援の項目も多岐にわたるので受け入れ側の負担を減らす意味でも機関を使用する方が良いのではないでしょうか。

漁業特定技能協議会への加入

漁業特定技能協議会とは水産庁が漁業分野での特別技能制度を適正な運用を図るため組織された機関です。
受け入れを行った事業者は受け入れた日から4ヶ月以内に協議会に加入が義務付けられています。他にも事業者は「協議会に置いて協議が調った措置を講じる」「協議会及びその構成員に対し、必要な協力を行うこと」などの要件が科せられます。

まとめ

漁業に携わる人数は毎年のように減っています。東京や大阪などの大都市に就労していく若者が増え地方の担い手が減少しており、働き手の需要を日本人だけでまかなうことが難しくなっています。
そこで特定技能を利用し、外国人を採用することで生産力向上を期待ができます。現在、漁業は特定技能1号しか認められておらず、期間の制限がありますがいずれ特定技能2号が認められた際には更新が可能になり永住することもできます。ゆくゆくは一時的な労働力としてだけでなく長期的に担い手として受け入れを行うことになるかもしれません。 十分に制度を理解した上で検討してみてください。