2021.07.26 ビザ・在留資格
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/08/04

特定技能「建設業」|外国人を建設業で雇用するためには?

特定技能「建設業」|外国人を建設業で雇用するためには?

目次

  1. 建設業界の人手不足
  2. 特定技能「建設業」
  3. 建設業の特定技能試験について
    1. 特定技能1号の試験について
    2. 特定技能2号の試験について
  4. 特定技能「建設」の対象職種
  5. 雇用について
    1. 「建設技能人材機構(JAC)」への加入、採用
    2. 給与
    3. 人員の上限
    4. 転職について
  6. 受け入れ企業(特定技能所属機関)に求められる条件
    1. 建設業許可「建設業法第3条」を取得する
    2. 国土交通大臣による建設特定技能受入計画の認定
    3. 建設キャリアアップシステムへの登録
    4. 一般財団法人国際建設技能振興機構「FITS」

1.建設業界の人手不足

建設業界は慢性的な人手不足に陥っています。 2019年末に行われた、国土交通省「建設労働需給調査」によって、建設業の多くの分野において人手不足であることが改めて示されました。 国土交通省「建設労働需給調査」 その調査によって、特に土木分野の型枠工の人手不足は顕著にあらわれています。 背景には若い労働人口の不足と、技術者の高齢化が進んでいることが考えられます。

建設業の技能者は45~49歳で賃金水準はピークになり、そこから急激に下がります。 これは体力のピークとも比例していることもあり、マネジメント力が評価されにくいことは顕著に現れています。 そのため、そもそも建設業を選ぶ若い労働人口も減少しているということも、人手不足の原因といえます。

この人手不足は、再開発事業の盛んな首都圏だけでなく、全国的に高まっています。 今後はインフラの老朽化が進み、さらに建設業界は人手が必要となってきます。 その慢性的な人手不足の打開策として制定された、特定技能外国人の受け入れ制度です。 以下では、特定技能外国人を建設業で雇用することについて述べます。

2.特定技能「建設業」

「特定技能」とは、人手不足が深刻な業種に対して、一定の専門性と技術を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。 2019年4月に在留資格「特定技能」が創設され、建設業の特定技能1号として、外国人の雇用は可能となりました。 「特定技能1号」の在留資格は5年間有効となっており、「特定技能2号」は在留資格の更新が何度でも可能で、家族を呼び寄せることもできます。 また、建設分野の特定技能1号ビザの発行上限は合計で最大4万人という制限が課せられています。

特定技能は、ほぼ全ての国から外国人の受け入れが可能であることから、 技能実習の外国人より採用の幅が広いことが特徴です。 今後も海外での特定技能試験の実施が増加していけば、さらに技術者が増え、即戦力としての外国人雇用がスムーズにできることが期待できます。

3.建設業の特定技能試験について

特定技能には、「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類の在留資格があります。 現在14分野ある特定技能の中で、「特定技能2号」の受け入れが認められているのは、「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみとなっています。

3-1 特定技能1号の試験について

外国人技術者が特定技能1号として建設業で働く場合、特定技能試験に合格する必要があります。 特定技能試験には、日本語試験と、職種ごとの技能試験があります。 日本国際教育支援協会の日本語能力試験「N4」レベル、または、国際交流基金の運営する日本語基礎テストに合格し、建設技能人材機構の運営する「建設分野特定技能評価試験」に合格することで、特定技能1号の在留資格が得られます。

「建設分野特定技能評価試験」は海外でも行われています。 建設分野の特定技能1号技能評価試験結果は、令和3年3月のフィリピン (マニラ) で行われた電気通信の技能試験の合格率は100%、 ベトナム (ハノイ) で行われた鉄筋施工の技能試験の合格率は79% 、令和3年6月の東京で行われた、コンクリー ト圧送の技能試験の合格率は50%となっています。 「一般社団法人 建設技能人材機構 」

また、技能実習2号以上の3年修了者は、無試験で特定技能1号に在留資格を移行できます。

3-2 特定技能2号の試験について

作業員の指揮・命令・管理をする監督者としての実務経験を有する「特定技能1号(溶接)」の外国人は、「造船・舶用工業分野特定技能2号評価試験(溶接)」を受けることができます。

建設分野では業務の制限ありませんが、造船・舶用工業分野では「溶接」のみ、特定技能2号の移行が可能となっています。

特定技能2号は、1号からの昇格が前提となっているため、日本語試験を受ける必要はありません。 そのため、試験は技能試験のみとなります。

4.特定技能「建設」の対象職種

2019年に、特定技能1号で従事できる業務は以下の11種と制定されました。

              
  1. 型枠施工
  2. 左官
  3. コンクリート圧送
  4. トンネル推進工
  5. 建設機械施工
  6. 土木
  7. 屋根ふき
  8. 電気通信
  9. 鉄筋施工
  10. 鉄筋継手
  11. 内装仕上げ/表装

また、2020年2月28日に従来の11種に加え、新たに下記の7種が追加され、全18種の業務で受け入れが可能となっています。

  1. とび
  2. 建設大工
  3. 配管
  4. 建設板金
  5. 保温保冷
  6. 吹付ウレタン断熱
  7. 海洋土木工

技術と関係のない準備や点検などの付属業務においても、特定技能外国人でも行うことができます。

5.雇用について

5-1「建設技能人材機構(JAC)」への加入、採用

特定技能外国人の建設業での採用については、直接雇用のみ認められています。 人材紹介を利用したい場合においても、全て「建設技能人材機構(JAC)」を通して行うことになっています。

そのため、外国人技術者の採用を行うにあたり、まず、JACに加入することが必要です。 年会費は、議決権を持つ正会員の場合は36万、賛助会員の場合24万円となっています。 「建設特定技能外国人制度」の無料説明会は全国で行われています。 現在は、コロナウイルス感染症対策のため、リモートでの参加も可能です。

5-2 給与

特定技能では、給与は日本人と同等か、それ以上にするよう定められています。 また、安定的に報酬の支払いをする必要があるため、基本的には月給制で、日給や日払いでの雇用は認められていません。 給与においては、3年以上の経験を積んだ人材と同等とすることが無難です。 特定技能外国人の技能によって昇級を行うということも記載しておく必要があります。

5-3 人員の上限

企業に在籍する常勤の職員よりも多く特定技能外国人を受け入れることは禁止されています。 社員が20名であれば、特定技能外国人も20人が上限となります。

5-4 転職について

同業種間での転職は、特定技能では認められています。

6.受け入れ企業(特定技能所属機関)に求められる条件

6-1 建設業許可「建設業法第3条」を取得する

特定技能外国人の受け入れ企業は、建設業許可「建設業法第3条」を取得している必要があります。

「建設業法第3条」には以下の条文が記されています。 「建設業を営もうとする者は ”軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き” 建設業法第3条の規定に基づき、建設業の許可を受けなければなりません。」

特定技能外国人を受け入れる企業の場合、「軽微な建築工事を請け負う企業」であっても、建設業許可が必要になるため注意しましょう。

6-2 国土交通大臣による建設特定技能受入計画の認定

建設業において特定技能外国人を受け入れる場合、その企業は国土交通省の大臣による建設特定技能受入計画の認定を受けなければなりません。 特定技能を既に持つ外国人を新たに転職者として雇用する場合でも、建設特定技能受入計画の認定が必要です。 建設特定技能受入計画はオンラインからの申請となっています。 「建設特定技能受入計画」オンライン申請

6-3 建設キャリアアップシステムへの登録

特定技能外国人を受け入れる事業者は、建設業振興基金が運営する建設キャリアアップシステムへの事業者登録を行う必要があります。 外国人の在留資格・安全資格・社会保険加入状況の確認が可能となり、不法就労防止に繋がります。 万が一、雇っている外国人技術者が不法就労とみなされた場合、入管法違反により3年以下の懲役又は300万円以下の罰金という刑になる可能性があるため、キャリアアップシステムにおいて欠かさず確認しましょう。 「建設業振興基金」建設キャリアアップシステム

6-4 一般財団法人国際建設技能振興機構「FITS」

一般財団法人国際建設技能振興機構「FITS」は、建設分野の特定技能外国人の受入れが適切に行われることを目的とした「適正就労監理機関」です。 登録支援機関や、特定技能外国人の受入れ企業に対して巡回指導をしています。 また、特定技能外国人との母国語(中国語、ベトナム語、インドネシア語、フィリピン語及び英語)による電話相談などを行っています。 特定技能外国人を受け入れる際にはこの制度があることをあらかじめ伝えておくことで、安心にも繋がります。 一般財団法人国際建設技能振興機構「FITS」

7.まとめ

特定技能は、日本語力の高い外国人技術者を、日本人と同等の作業内容で即戦力として雇用できる制度です。 また、建設業では18業務で雇用が可能であり、作業内容の汎用性が高いということもメリットです。 人材不足を緩和するためにも、建設業において特定技能外国人の雇用制度はこれからますます活用されていくことになりそうです。