2021.07.27 ビザ・在留資格
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/07/30

技能実習「介護」|外国人を介護で雇用するためには

技能実習「介護」|外国人を介護で雇用するためには

目次

  1. 介護業界の人手不足は深刻化している
  2. なぜ介護業界で人手不足が起こるのか
  3. 介護業界で外国人技能実習生を雇用する方法
  4. 介護技能実習生を雇用するメリットとデメリット
  5. まとめ

「介護士の不足を解決するために、技能実習生を採用したい」など、介護業界で人手を補う為に外国人技能実習生の雇用方法について知りたいというかたも多いのではないでしょうか。
実際、現在介護人材不足対策として政府が特に力を入れて行っているのは「外国人人材の活用」であり、現場でも介護士として活躍されている外国人の方をよく目にするようになってきました。
この記事では、介護業界における外国人技能実習生の雇用方法を中心に解説していきます。

介護業界の人手不足は深刻化している

現在介護業界では深刻な人手不足に直面しています。
2021年7月に厚生労働省が公表した介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数によると、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人を追加で確保する必要があるとされました。
介護業界の採用率は他産業と比較しても高く、年々介護職員の数は増加しています。

しかし、介護業界の約65%が「人手が不足している」と感じており、人手不足によるサービスの低下や労働環境の悪化による離職率の上昇、経営状態の悪化など深刻な問題が起こっているのです。

なぜ介護業界で人手不足が起こるのか

介護業界はなぜ人手不足に陥っているのでしょうか?ここからは人手不足の理由について説明していきます。

少子高齢化

まず日本の社会背景として挙げられるのが「少子高齢化」です。令和2年版「高齢社会白書(内閣府)」によると、現在日本の全人口のうち約28.4%を65歳以上の高齢者が占めており、年々高齢者の増加がみられています。
その反面、出生率の低下による少子化の進行も起こっており、その結果、介護を必要とする人口の増加に対し介護者が減少しているため需要と供給のバランスがとれなくなっているというのが現状です。

(資料:高齢化の推移と将来推計 内閣府令和2年版高齢社会白書より)

採用困難

介護業界での人手不足の原因としてまず挙げられるのが「採用困難」です。
令和元年度介護労働実態調査によると90.0%の事業所が人材不足の理由として「採用が困難であること」を挙げています。
同調査から採用難の主な理由として、同業他社との人材獲得競争が激しい56.9%、他産業に比べて労働条件が良くない55.9%、景気がいいため、介護業界へ人材が集まらない44.5%ということがわかりました。

給与の低さ

介護職というのは専門的な知識・技術などが要求される上で責任も大きく、肉体的にも精神的にも過酷であるのにも関わらず平均月給が20万を下回ります。
厚生労働省の「平成29年 賃金構造基本統計調査」によると、2017年度全産業平均月給30万4300円となっており、平均からみても介護職は非常に低い給与水準ということがわかります。

離職率が高い

現場のスタッフの多くが悩んでいるのが人間関係です。
また女性のスタッフの割合が高いことによる結婚や出産といった介護職員のライフステージの変化、不規則な勤務形態、肉体的精神的にきつい、一人ひとりの介護職員にかかる負担が大きいなどが主な理由として挙がっています。

介護業界で外国人技能実習生を雇用する方法

2017年11月、日本の国際貢献を目的とした技術移転のために介護職種での技能実習生の受け入れがスタートしました。
一方で2019年4月には人材確保が特に困難である特定分野について、従来よりもかなり緩やかな条件のもとに外国の人材を受け入れることができる「特定技能」という制度もスタートしました。
これにより、指定された3つの試験に合格した外国人が特定技能「介護」の在留資格を得て就労できるようになったとともに、技能実習「介護」を3年修了した外国人が、さらに最長で5年間介護職として就労できるようになりました。
人材不足が深刻化する中、外国人技能実習生を受け入れる施設も年々増加しています。

しかし、介護職種の技能実習生を受け入れる場合、技能実習制度本体の要件に加え介護職種固有の要件を満たす必要があります。

技能実習生に関する要件

日本語能力要件

指導者や利用者とのコミュニケーションを図るため一定水準以上の日本語能力が必要です。そのため技能実習生は日本入国する際に日本語能力試験N4レベルに合格する必要があり、技能実習計画認定申請を行う際には成績証明書を提出しなければなりません。

職歴要件

「日本において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験があること」もしくは「団体監理型技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること」と介護経験などがあることが条件として挙げられています。

実習実施者に関する要件

技能実習指導員

技能実習制度本体の要件には、技能実習指導員の配置人数について技能実習生に応じた基準はありません。しかし介護職種の場合、看護師あるいは職務歴5年以上の介護福祉士を技能実習生5名につき1名以上配置することが必要です。

介護事業所の体制

技能実習「介護」を実施する事務所は、介護を提供する場であり、開設から3年以上経過していること、技能実習生が夜勤業務や緊急対応を行う場合は利用者の安全を確保するため必要な措置を講ずること、又、技能実習生が業務を行う際は、技能実習生以外の介護職員を指導に必要な人数配置するなどといった受け入れ体制を整えなければなりません。

介護技能実習生を雇用するメリットとデメリット

メリット

介護の現場に外国人技能実習生を雇用するメリットとして以下の2点が考えられます。

1つ目に挙げられることは「転職がない」という点です。
特定の技術を習得することを目的としている技能実習生は仕事の種類や就業場所を変更することができないため転職という選択肢はありません。そのため離職率が高いと悩んでいる事業所としては一定の年数は人材の確保が見込めることから人手不足の解消となります。

2つ目に挙げられることは、介護業界での外国人の受け入れはサービス利用者の生命や安全に大きく関わるということから基準が厳しく定められているため、高レベルの人材を雇用できるという点です。
外国人技能実習制度を利用する外国人は、介護の経験がある、または一定の介護技術や知識をもっているということが条件となっている為、現場での即戦力としても期待できます。

デメリット

一方で外国人技能実習生を雇用するデメリットとして以下の3点が考えられます。

1つ目は、外国人技能実習生の日本語能力の不足です。
日常会話は問題なくできますが、施設利用者様の身体状態の把握や専門的な会話をする際には、日本語能力検定N4レベルでは不足することがあります。

2つ目は、通常3年、最長5年と期間が定められている技能実習制度では受け入れ期間を超えての雇用が不可能ということです。

3つ目は、書類の手続きが複雑な上、実際に配属されるまで1年以上の時間がかかる点もデメリットといえます。

4つ目は、日本人を採用するよりコストがかかるということです。
移住環境の整備や、日本語研修の費用など、日本人を採用するよりもコスト面の負担が大きいといえます。
度重なる介護報酬の改訂により、特に収益環境が厳しい民間介護事業者の中には、コスト面から外国人技能実習制度の活用ができないと答える介護事業者もいます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は介護業界で技能実習生を雇用する方法について解説しました。

2025年に団塊の世代が75歳以上となり日本は超高齢社会となる「2025年問題」が目前に迫っています。医療や介護の需要と供給が成り立たなくなり、今以上に介護業界では人手不足により多くの事業所が悩まされることになるでしょう。
日本での労働を希望する外国人を雇用できる外国人技能実習制度を利用することで、人材不足により低下したサービスの質の向上や、スタッフの負担軽減などが期待できます。

今後もより良い介護を提供することができるようにぜひこの技能実習生雇用制度を検討していきましょう。