2021.08.25 介護
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/08/25

介護技能実習生が介護福祉士を目指す方法

介護技能実習生が介護福祉士を目指す方法

目次

  1. 労働力需給と技能実習生
  2. 介護福祉士を受験する際の必須条件
  3. 実務者研修とは
    1. どんな研修か?
    2. 申込み方法と費用
    3. 学習内容・時間・テストについて
  4. 事業所側の必要な支援
  5. まとめ

労働力需給と技能実習生

現在多くの介護事業所が、人出不足の問題に直面しています。外国人介護職員を雇用したいと考えている事業所は、多いはずです。雇用するには4つの制度がありますが、中でも技能実習生は、事業所の要件がEPA介護福祉士候補者ほど厳しくなく、就労条件に関わらす、人材が確保できるので人気があります。 また、外国人技能実習制度は1993年から始まっています。介護分野が対象になったのは、2017年11月からですが、受け入れ調整機関である監理団体は人材の紹介から、入国前の訓練、入国後の研修やフォローに関しても、長い経験を有していて、初めて外国人を雇用する事業所にとっては、非常に心強いと思います。 外国人技能実習制度の真の目的は、日本で技能を学び、それを自国に持ち帰り発展に寄与するというものです。ですが実際には、受け入れ側にとっては、労働力需給が、実習生には日本円による高い賃金が目的になっているということは否めないでしょう。事業所側も多くの実習生も長期的な就労を希望していると思われます。そのためには、技能実習3年修了後、特定技能介護に切り替え、その上で介護福祉士を取得するという方法が、最善ではないでしょうか。

介護福祉士を受験する際の必須条件

技能実習生は実習が3年修了すると、技能実習3号または、特定技能1号に在留資格が移行できます。技能実習3号への移行はあまりにもハードルが高いので、特定技能1号への移行が現実的でしょう。
参考)技能実習3年終了後|特定技能?技能実習3号?どちらにすべきか

技能実習「介護」を3年修了した技能実習生は、特定技能1号「介護」の技能試験や日本語試験が免除されます。特定技能での就労は5年になりますので、介護福祉士国家試験は、この日本在留8年の間に数回、受験することができます。
受験資格は、介護施設での実務経験が3年以上及び実務者研修の受講修了で得られます。
介護福祉士試験は、毎年1月下旬の日曜日にあります。申込みは前年の8月上旬から1か月です。ただし、実務経験の3年は 申込み日までではなく、試験実施年度の3月31にまでです。具体的には、それまでに従業機関1,095日かつ従事日数540日以上を満たす必要があります。なお、技能実習生期間中の業務に従事した日が含まれますので、それに特定技能での従事日数を足す形になります。

実務者研修とは

さて、実務経験3年だけでなく、実務者研修を受講、修了しなければ介護福祉士試験は受けられません。こちらも、申込み時ではなく、試験実施年度の3月31日までに修了が条件となっています。
実務者研修は、450時間で平均6か月以上かかります。働きながら受講可能ですが、事業所の理解や協力がなければ難しいです。ではどんな研修か、まず見ていきましょう。

どんな研修か?

介護には、ホームヘルパーや介護職員基礎研修などの様々な資格がありましたが、介護福祉士までのルートを明確化し さらなる資質の向上を図るため、平成28年度より養成機関を出ていない介護士に対して、450時間の実務者研修が介護福祉士受験の必須となりました。
研修の大部分は通信教育です。通学は、介護過程Ⅲと医療的ケアの科目の講義・演習のみになります。

申込み方法と費用

実務者研修の実施機関は、介護福祉士の養成校などです。入学要件は特になく、インターネットでも申し込めます。通学の際の会場が、住居にできるだけ近くの学校を選ぶといいでしょう。受験年度の9月から開催のものでも、間に合いますが、受講者が少なく開講されない場合や定員いっぱいで受講できない場合などもありますから、できるだけ早く開講されるものを申し込むことをおすすめします。
費用は、10~15万円程度が多いです。特定技能で就労している介護士は、雇用保険に加入しているはずですので、近隣のハローワークで専門実践教育訓練給付金を申請し、対象と認定されれば受講費の5割が後ほど戻ってきます。

学習内容・時間・テストについて

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20科目450時間です。そのうち通学は、介護課程Ⅲが45時間+医療的ケア(演習)が16時間で、合計61時間、約7日となります。通学は、働いている人達に配慮して、毎週日曜、連続7回というところが多いです。
学習内容は「人間と社会」、「介護」、「こころとからだのしくみ」、「医療的ケア」の4つに大きく分けられ、「医療的ケア」は喀痰吸引や経管栄養などについて実技を通して学んでいきます。
通信教育の間に、平均4~5回問題やレポートの提出があります。また、通学での講義や演習終了後、修了試験があります。学校によって課題や試験の難易度と合格点がそれぞれ異なります。とても難しいというわけではありませんし、たとえ提出した課題や試験が基準点を下回ったとしても、再試験を行うなどして対応してくれます。

事業所側の必要な支援

介護福祉士の取得は、介護士個人の問題にとどまらず、事業所にとっても 永続的に働いてもらえる可能性が高くなるとともに、サービスの質の向上という観点からも非常に大切なことです。また、介護福祉士の数が増加すれば、介護報酬も加算されます。
具体的には、実務者研修受講のための支援と試験の申込み、及び対策の支援が大切です。
まず、実務経験3年以上の受験資格がある外国人を対象にオリエンテーションを開催しましょう。取得のメリットと受験までの流れを説明します。
その上で受験希望者には、実務者研修の実施機関の選択や申込みを援助したり、短時間で構いませんので、通信教育のテキストや課題の提出を指導してあげたりするといいと思います。また、通学日をシフトから外すことや、会場までの行き方を教えてあげることも大切です。
試験対策に関しては、教材の選定等、道筋を示してあげることや、勉強を見守ってつまずいていたら、手を差し伸べるといった自分の業務や生活に支障をきたさない範囲で、支援協力する形が望ましいのではないでしょうか。申込みや試験会場までの交通手段に関しては、要所ですので確認してあげてほしいと思います。

★まとめ

技能実習「介護」の制度は、2017年11月より始まりました。特定技能1号「介護」の制度は2019年4月から始まったばかりです。ともに、新型コロナウイルスの影響を受け、認定はおりていても、入国できないといった状態が続いています。
介護技能実習生で来日した外国人介護士が、特定技能に切り替え、さらに介護福祉士を取得し、在留資格「介護」になり永続的に働いてくれるといったケースは、これからです。
今後、このようなケースが多くなれば介護業界のみならず、老後の不安を抱える日本社会において、非常に喜ばしいことです。より円滑に外国人介護士が介護福祉士を取得できるようになってほしいと思います。現状では、試験問題の漢字すべてにふりがながある問題用紙を選択できる以外、日本人と全く差異はありません。
EPA介護福祉士候補者の場合は、筆記試験の解答時間が通常の220分から1.5倍の330分です。これは、特定技能介護の外国人介護士にも適用されてもいいのではないでしょうか。
また、EPAの場合 実務者研修を受けなくても、実技試験に合格すれば介護福祉士が取得できます。働きながら、450時間分学ぶというのは、外国人介護士にとってかなりの負担です。在留資格介護になると、訪問介護事業所でも働けますから、そこで行うアセスメントや訪問介護計画書の作成のしかた、また、最近追加された医療分野の実習は確かに必要です。しかし、通常の無資格者と同じ450時間の研修を課す必要が果たしてあるのでしょうか。外国人が介護福祉士を取得するには現在の制度はあまりにも厳しすぎます。日本政府が介護業界の将来の人手不足対策を真剣に考えるのであれば、早急に基準を緩和するべきと考えます。
外国人介護士が、介護福祉士を目指す時代がすぐにやってきます。それは、日本社会の光になります。ぜひ、より多くの外国人介護福祉士の誕生が望めるような形になってほしいと願います。