2021.08.26 ビザ・在留資格
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/08/26

特定活動46号|N1が必要?現実的に採用可能?

特定活動46号|N1が必要?現実的に採用可能?

日本企業の約半数が人手不足に陥っている状況にあるという発表もあり、人材不足は社会問題となっています。そのため、現在「特定活動46号」というものが注目されています。
人手不足が深刻な業種において、外国人の従事できる業種の幅がさらに広くなりました。この「特定活動46号」として従事できる外国人は優秀な人材です。企業としても優秀な人材確保の1つの手段となります。
今回は「特定活動46号」とその業務にあたって必要なことについて解説していきます。

目次

  1. 特定活動46号ってなに?
    1. 特定活動とは
    2. 特定活動46号とは
    3. 対象者
    4. 具体的な活動例
    5. 契約形態
    6. 家族の滞在や在留期間
  2. N1とは?何が必要?
    1. N1とは
    2. N1の必要性
    3. N1は必ず必要なの?
    4. 特定活動46号は現実的でない
  3. まとめ

特定活動46号ってなに?

特定活動とは

「特定活動」とは、他の在留資格で許可されていない活動を法務省が特別に許可している在留資格です。
留学生の就職支援に係る「特定活動」についてのガイドラインでは以下のように記載されています。

本制度は,本邦大学卒業者が本邦の公私の機関において,本邦の大学等において修得した広い知識,応用的能力等のほか,留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として,幅広い業務に従事する活動を認めるものです。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては,一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められませんが,本制度においては,上記諸要件が満たされれば,これらの活動も可能です。

(引用元:留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン

特定活動46号とは

「特定活動46号」とは、日本の大学を卒業、大学院を修了した外国人が日本で就職するための在留資格です。日本での就職率を高めるために2019年5月に新たに設立された比較的新しい在留資格となっています。
特定活動46号は接客サービスに適した在留資格であることから「接客ビザ」とも呼ばれています。

対象者について

日本の大学を卒業あるいは大学院を修了し、学位を貰った外国人が対象で、高い日本語能力を有する必要があります。
特定活動の対象者の詳細は下記のように記されています。

学歴について

日本の4年制大学の卒業及び大学院の修了に限られます。短期大学及び専修学校の卒業並びに外国の大学の卒業及び大学院の修了は対象になりません。

日本語能力について

ア 日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方が対象です。
※ 日本語能力試験については,旧試験制度の「1級」も対象となります。
イ その他,大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方については,アを満たすものとして取り扱います。
なお,外国の大学・大学院において日本語を専攻した方についても,アを満たすものとして取り扱いますが,この場合であっても,併せて日本の大学・大学院 を卒業・修了している必要があります。

(引用元:留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン

具体的な活動例

ここでは特定活動46号で活動できる業務を簡単に紹介していきます。

・飲食店での管理業務や接客業務(通訳も含む)を行うもの。
(日本人客に対して接客を行うことも可能です。)

・小売店での仕入れや商品企画、接客業務(通訳も含む)を行うもの。
(日本人客に対して接客を行うことも可能です。)

・宿泊施設(ホテルや旅館)での外国語(翻訳も含む)によるホームページの開設や外国人観光客への通訳や施設案内を兼ねた接客を行うもの。
(日本人客に対して接客を行うことも可能です。)

・タクシー会社での観光客の集客のための企画や立案、また通訳を兼ねた観光案内・接客を行うタクシードライバーとして従事するもの。
(通常のタクシードライバーとして業務をすることも可能です。)

・介護施設での外国人従業員や技能実習生への指導や日本語を用いて介護業務に従事するもの。

・食品製造会社において、自らも商品製造ラインに入って業務を行ったり、日本語を用いたコミュニケーションを図りながら商品企画や開発を行うもの。

単純労働をすることも可能ですが、単純労働のみとなることは原則として認められていません。あくまで、在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること、又は今後当該業務に従事することが見込まれている必要があります。

契約形態

・転職などで活動機関が変わる場合は、在留資格変更許可申請が必要です。
・同一法人(法人番号が一緒)内での異動や配置変更の場合は、在留資格変更許可申請は不要です。
・フルタイム(常勤)の正社員に限られ、パートやアルバイトは対象外です。
・雇用期間の業務に関する活動のみに限られ、派遣社員として派遣先での活動は対象外です。
・社会保険の加入状況についても、必要に応じて適宜確認が必要です。
・従事する日本人と同等以上の報酬であることが必要です。
 昇給面を含めて,日本人大卒者・院卒者の賃金を参考とします。

家族の滞在や在留期間

・家族の滞在について
特定活動46号を指定された者の扶養を受ける配偶者又は子については「特定活動」(本邦大学卒業者の配偶者等)の在留資格で,日常的な活動が認められます。
・在留期間について在留期間は,5年,3年,1年,6月又は3月のいずれかの期間が決定されますが,原則として,「留学」の在留資格からの変更許可時,及び初回の在留期間更新許可時に決定される在留期間は,「1年」となります。

N1とは?何が必要?

N1とは

N1とは、日本語能力試験のレベルを表す指標です(N1~N5)。

yajirushi

N1レベルは一番難しいレベルであり、幅広い場面で使われる日本語を理解することが求められます。
N1レベルの認定目安を【読む】【聞く】という言語行動で表しており、下記に詳細を記載します。

【読む】

・幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる。
・さまざまな話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な言語意図を理解することができる。

【聞く】

・幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる。
(引用元:日本語能力試験JLPT

N1の必要性

前述したように「N1」は高い日本語能力があることの指標となります。
特定活動には「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」が求められ,雇用主などからの作業指示を理解し,自らの作業を行うだけの受動的な業務だけではなく,いわゆる「翻訳・通訳」の要素のある業務や,自ら他者と交流を図る際に必要となる日本語能力が必要です。 そのため、日本語能力試験「N1」を取得することが特定活動46号の業務を行う上での必要な要件の1つとなります。

N1は必ず必要なの?

特定活動46号の業務を行う上で、高い日本語能力が必要とされています。よって、対象となる外国人は以下の2つの要件を満たす必要があります。

・学 歴  :「日本の4年制大学を卒業、及び大学院を修了して学位を授与されていること」
・日本語能力:「日本語能力N1またはBJTビジネス日本語テスト480点以上取得」

学歴に関しては、4年制の大学もしくは大学院が対象となるため、日本語学校や短期大学、専門学校は対象外となります。たとえ外国の大学、大学院で日本語を専攻した場合においても、併せて日本の大学・大学院を卒業・終了する必要があります。
大学、大学院の卒業が必要という厳しい制限ではありますが、ガイドラインより、
「大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方については,試験を満たすものとして取り扱う。」
と記載があるため、日本語学科で大学や大学院を卒業した場合は、日本語能力試験は不要となります。
また、日本語能力試験についても、BJTビジネス日本語テスト480点以上もしくは日本語能力試験の旧制度である「1級」で、日本語能力N1と同等として要件を満たすことができます。

特定活動46号は現実的でない

日本語学科の大学または大学院を卒業した方や、上記のN1に代わる試験の合格者以外の方については、特定活動46号の資格を得るためには「N1取得は必須」です。つまりごくまれなケースを除いて、特定活動46号の資格取得には日本語能力試験「N1」が必要だということになります。
日本で生まれ育った日本人であってもN1の取得は難しいと言われています。ましてや外国人にとってN1の取得は至難の業です。N1取得を基準とする特定活動46号はとても実情を反映しているとは思えず、現実的ではない在留資格だと言えます。
この特定活動46号のN1基準については、上記の理由で多くの方々が不満を持っています。日本政府に対して外国人材政策に関する政策提言を行う団体がいくつかありますが、実際にこのあまりに厳しすぎて現実的でない特定活動N1に関する条件緩和がすでにいくつか提言されているほどです。

★まとめ

今回、特定活動46号について解説してきました。その上で日本語能力試験「N1」が必要なのかどうかも加えて説明しました。
特定活動46号が新たな創設されましたが、あまりに厳しすぎる「N1条件」により、普及は限られることになるでしょう。今後さらなる外国人雇用の拡大を日本政府が考えているなら、早急にN1条件を緩和するべきです。
日本政府が正しい判断をすることを願ってやみません。