2021.08.30 介護
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/08/30

介護業界の人手不足は深刻化|理由と対策を徹底解説

介護業界の人手不足は深刻化|理由と対策を徹底解説

現在介護業界だけではなく、多くの業種が人手不足により悩まされています。 必要な人材が不足することで、需要と供給のバランスが崩れる、ひとりの働き手が担う仕事量が多くなり負担が増えるなどといった問題が現に起こっています。 なぜ日本ではこのような人材不足が深刻化しているのでしょうか。この記事では、介護業界の人手不足がさらに深刻化している理由と対策を徹底解説していきたいと思います。

目次

  1. 日本が深刻な人手不足となる社会的背景
    1. 少子化
    2. 高齢化
  2. 介護業界が人手不足となる理由
    1. 採用が難しい
    2. 給料が低い
    3. 人間関係
    4. 体力、精神的な問題
  3. 介護業界の人材不足による影響
  4. 介護業界の人材不足への対策
  5. まとめ

1. 日本が深刻な人手不足となる社会的背景

まず人手不足とは、業務を行う上で必要とされるだけの人材が集まらず思うように業務が行えていないような状態のことを言います。 このような状況が続くと労働環境の悪化により離職するスタッフが増え、ますます人手が足りなくなってしまいます。 このような状況に陥る日本の社会的背景として挙げられるのが「少子高齢化」で、これは少子化と高齢化を合わせた呼び方です。

1-1 少子化

少子化とは、出生率が低下し子供の数が減少することを表しています。日本では1942年出生数269万人、合計特殊出生率4.32が過去最高ですが 、2020年には出生数84万832人、合計特殊出生率1.34と過去最低を記録しています。 このような少子化が起こる原因として、未婚化・晩婚化・晩産化、女性のライフスタイルの変化、経済的負担などが挙げられます。 時代が進むにつれ結婚出産に対する意識の変化がみられ、必ずしもしなくてはならないという考えではなく、選択の一つとして捉える方が増え、 また結婚していても子どもを持たず、夫婦二人で楽しむという選択をする方もたくさんいらっしゃいます。 そして女性のライフスタイルの変化により、働く女性が増えたことで初婚年齢や出産年齢が高くなる現象(晩婚化・晩産化)が生じています。 このように女性の社会進出が進む一方、子育て支援の体制が不十分であり、仕事と育児の両立への不安感が深まり、出産育児という選択肢が制限されているということも晩婚化晩産化が進む原因となっています。また全体的な所得減少や出産育児により仕事から離れ失う所得が大きいことなどによる経済的不安も原因のひとつとして挙げられます。

1-2 高齢化

高齢化とは65歳以上の人口の割合が増加するということを表しています。高齢化率が全人口のうち7%以上であると「高齢化社会」、14%以上であると「高齢社会」、21%以上であると「超高齢社会」と分類しています。 日本では1995年に高齢者人口が14.6%となり25年前から高齢社会へと突入しています。その後日本は高齢化率世界一を独走し、2020年には高齢化率は28.7%となりました。 高齢化の原因としては医療技術等の進歩のほか、生活環境や食生活の改善などによる平均寿命の延伸や、上記で述べたように少子化の進行による若年人口の減少が挙げられます。 このように日本では少子高齢化が進むことで総人口が減少し、生産性の低下と労働力人口も減少します。すでに多くの業種で労働力不足が顕在化している中で介護業界では現時点でも人材不足が深刻化しているため、今後より大きな問題となることが予測されています。

2. 介護業界で人手不足が深刻化する理由

高齢化が進み介護サービスの需要が高まるなかで、労働人口が減少しているということから介護業界ではほかの業界に比べて人材不足の加速がみられます。 このように人材不足が起こる原因として、上記で述べた少子高齢化という社会問題のほかに実際に介護の現場で起こっているものもあります。

2-1 採用が難しい

介護労働安定センターによる介護事業所への調査結果によると、多くの介護事業所が人手不足の原因としてまず1つ目に挙げるのが「採用難」です。 介護業界に対し業務内容はきついのに給料が安いなどネガティブな印象を持っている人が多いため、求人数に比べ応募者数が少なくなっているのが現状です。

2-2 給料が低い

2つ目は離職率が高いという点です。先ほどのきついのに給料が低いということも離職理由のひとつとして挙げられます。 介護職とは経験年数や資格の有無によって給与が変わりますが、それでもやはり平均年収よりは低い傾向にあります。 しかし近年では政府が特定処遇改善加算により給料を上げる政策を実施してきたため、徐々に改善しつつあります。

2-3 人間関係

3つ目は人間関係についてです。施設利用者が安全に楽しく快適に過ごすことができるようにサービスを提供しなければならない現場では、 スタッフ同士のコミュニケーションが必須です。施設には介護職だけではなく他職種スタッフも勤務しており、また介護サービスを提供する利用者、 その家族など様々な人とコミュニケーションをとらなければなりません。その上介護職は年齢や性別、職歴など様々な人が集まり、 考え方や価値観なども多種多様でコミュニケーションが取りづらいといった問題がでやすい職場です。 それはスタッフ同士だけではなく利用者との関係性でも生じ、スタッフに対しきつくあたる利用者もいます。 人間関係を理由とした退職については介護業界だけではなく全ての業界で起こりうることですが、これは一人で解決できる問題ではなく、 職場全体で取り組む必要があります。

2-4 体力、精神的な問題

4つ目は3K(きつい、汚い、危険)の職場であるということです。介護職にこのようなイメージを持つ方も多いでしょう。 実際に排泄処理であったり、大きな方の介助であったりと体力をかなり消耗する仕事です。 慢性的な腰痛がありコルセットをしながら働いている介護スタッフも多く、また夜勤などがあったりと勤務時間もバラバラで体調を崩すこともあります。

このような様々な理由により、介護職の人材不足が深刻化しているといえるでしょう。

3. 介護業界での人材不足による影響

介護業界の人材が不足することによってすでに様々な問題が起こっています。
現場にてまず問題となることは介護スタッフ一人が担う業務負担が大きい ということです。
勤務時間内に業務を終わらすためには丁寧にかつ素早く業務を実施することを求められますが、介護をするということは思いもよらないことが起こるということがつきものです。 そのためひとりひとりの業務量が適量であったとしても「利用者優先」という考えで仕事をこなしているスタッフは思うように仕事が進みません。
また利用者の安全確保も十分にできないという問題もでてきます。このように人材不足により労働環境の悪化や介護サービスの低下が起こってしまい離職率も上昇しています。 また高齢化が進み介護が必要である状態の人(要介護者)が増える中、必要としている介護サービスを受けることができない介護難民も問題として指摘されています。

4. 介護業界での人材不足に対する対策

すでに大きな影響を及ぼしている人材不足に対していったい何ができるのでしょうか。 今現在働いているスタッフの離職率を下げるため、そしてこれから介護士とし働きたいと思う方がひとりでも多く増えるように、 まずは労働環境の改善を行う必要があります。上記で説明した通り労働環境の悪化は離職率の上昇を促している大きな要因であります。 労働環境の改善方法

  1. 全体のミーティングを増やすことでひとりひとりが発言でき、スタッフ同士がコミュニケーションをとりながら情報交換ができる場を作る
  2. スキルアップをはかるため勉強会や研修を開催しモチベーションをあげる
  3. ICTによる業務代替も有効な方法となります。これは業務を効率化するだけではなくサービスの質の向上や利用者の満足度にもつながるため有効な方法のひとつとなります。
  4. 国が積極的に進めている外国人労働者雇用の制度もあります。

(参考)介護業界の外国人採用方法|採用手法から助成金制度まで詳しく解説!

さらに現在政府は介護士の人材確保を目的とし、介護職員処遇改善加算制度を導入しています。 給与が安いといったイメージを持つ方は多いですが、実際は年々介護士の平均給与が少しずつ上がっています。 ネガティブなイメージを払拭するために応募の際に積極的にアピールしていくことも重要です。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は介護業界の人手不足はさらに深刻化/理由と対策を徹底解説させていただきました。 少子高齢化は進み続け、2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となるため約55万人の介護人材の確保が必要といわれています。 介護職員が良い環境で労働できる、また要介護者が適切な介護サービスを受けることができるようにそれぞれの介護事業所が目的に合わせた方法で人材確保をできるように検討していきましょう。