2021.08.30 特定技能
著作・監修 北中彰 最終更新日: 2021/08/31

外国人留学生の就職活動|特定技能か技人国か

外国人留学生の就職活動|特定技能か技人国か

外国人留学生も日本人と同様に日本で就職活動をおこない、日本で働くことができますが、必要な在留資格を取得できなければ就業できません。 企業から内定をもらった後であっても、在留資格を得られなければ日本に滞在することができなくなるため、泣く泣く帰国することも多く起こっています。 本記事では、そのようなことにならないように、留学生・企業採用担当者が何に気をつけたいかをまとめています。

目次

  1. 外国人留学生は就職後どのような在留資格が必要?
    1. 「技術」を取得するケース
    2. 「人文知識・国際業務」を取得するケース
    3. 「特定技能」を取得するケース
  2. 在留資格の変更の審査について
  3. ビザ変更に必要な書類・手続き
  4. 外国人留学生がもっと就職できるようにするためには
    1. 解決策① 日本企業がもっと要求水準を下げること
    2. 解決策② 在留資格「特定技能」を狙うこと
  5. 企業人事担当者が確認しておきたいこと
  6. まとめ

1. 外国人留学生は就職後どのような在留資格が必要?

外国人留学生が日本で就職する場合、「技術・人文知識・国際業務」もしくは「特定技能」の在留資格を得て就労するケースがほとんどです。

1-1 「技術」を取得するケース

下記のような業務に従事する場合に取得することが必要になります。 【業務】
エンジニア、プログラマー、アプリケーション開発、建築設計、研究開発、生産技術、品質管理、システム管理などの理学、工学など自然科学技術または知識を必要とする業務 【取得検討基準】
・従事しようとする業務に必要な知識に関する科目を専攻して大学を卒業した。またはこれと同等以上の教育を受けたとき。または従事する業務について10年以上の実務を行い、相当の技術、知識があること。
・情報処理に関する業務に従事する場合は、定められた情報処理技術に関する試験に合格していること。または、情報処理技術に関する資格を保有していること。
・日本人と同等額以上の報酬が支払われること。
【在留期間】
3ヶ月、1年、3年、5年

1-2 「人文知識・国際業務」を取得するケース

【業務】
通訳、翻訳、語学指導、人事、経理、財務、総務、法務、企画、マーケティング、商品開発、広報、宣伝、デザインなど人文科学知識を必要とする業務。
または、外国の文化にもとづく思考や感受性を必要とする業務。
【取得検討基準】
・従事しようとする業務に必要な知識に関する科目を専攻して大学を卒業した。(これと同等以上の教育を受けた場合を含む)または従事する業務について10年以上の実務を行い、相当する知識を有すること。
・外国の文化にもとづく思考や感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、以下のいずれかに該当することが必要。
-広報、宣伝、または海外取引業務、服飾、室内装飾デザイン、商品開発などの業務で3年以上の実務経験があること。
-翻訳、通訳や語学の指導などの業務に従事する場合は、大学卒業の資格があること。
・日本人と同等額以上の報酬が支払われること。
【在留期間】
3ヶ月、1年、3年、5年

1-3 「特定技能」を取得するケース

【業務】
2019年4月に日本の深刻な労働力不足に対応するために新設された在留資格です。決められた14の分野で従事する際に在留資格を取得していれば働くことが可能です。
①介護、②ビルクリーニング、③素形材産業、④産業機械製造業、⑤電気・電子情報関連産業、⑥建設、⑦造船・舶用工業⑧自動車整備、⑨航空、⑩宿泊、⑪農業、⑫漁業、⑬飲食料品製造業、⑭外食業
【取得検討基準】
・「JLPT(日本語能力試験)N4以上またはJFT-Basic (国際交流基金日本語基礎テスト)」の合格
・「特定技能試験(分野別)」の合格
【在留期間】
基本、特定技能1号で5年間の在留が可能。⑥⑦は特定技能2号への更新が認められれば無制限にて在留することが可能。

2. 在留資格の変更の審査について

来日中の留学生が日本企業の内定が決まると、在留資格「留学」から在留資格の変更手続きを行う必要があります。 必ず変更申請を行えば認められるわけではありません。平成30年では、在留資格の変更手続きをおこなった学生30924人のうち、 承認されたのは25942人でした。4982人の方は内定を取得しても、在留資格変更が承認されず、入社できませんでした。 「特定技能」は基準が試験への合格が主なので分かりやすいですが、特に「技術・人文知識・国際業務」では注意が必要です。

「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更審査ポイント
・学歴・経歴から相応の技術・知識を有しているか
・従事する業務と本人の有している技術、知識は関連があり、活かせるか
・従事する業務が現場作業(単純労働)になっていないか
・給与等は日本人と比較して同等以上であるか
・雇用する会社の規模・実績から事業に安定性や継続性が認められ、外国人の技術、知識が活かせる機会が安定提供されるか


在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得においては、外国人の審査だけではなく、雇用する企業の事業の安定性・継続性や、雇用の必要性が求められるのが特徴です。 外国人留学生が就職活動をする際には、審査で見られるポイントも加味して、どのような企業であれば在留資格変更が認められるか、検討しながら活動する必要があるでしょう。 一方、企業としては外国人留学生の学歴・経歴等が業務としっかりとマッチしているか検討しておく必要があるでしょう。 特に昨今では、外食業、宿泊業などで単純労働とみなされ、在留資格「技術・人文知識・国際業務」が認められないケースが続出していますので注意が必要です。

3. ビザ変更に必要な書類・手続き

就職のための在留資格の変更申請は、企業・外国人留学生ともに行うことができますが、原則本人が入国管理局に出向いて行います。 企業担当や大学の担当窓口と相談をし、手続きの準備をしていきましょう。 申請から取得までは2か月かかる場合もありますので、内定が出たら速やかに申請をする必要があります。

在留資格の変更許可申請に必要な書類
・申請書
・写真
・日本での活動内容に応じた資料
・在留カード
・資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている者に限ります。)
・旅券又は在留資格証明書を提示
・旅券又は在留資格証明書を提示することができないときは,その理由を記載した理由書
・身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)


申請先
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

(参考)出入国在留管理庁

(参考)介護業界の外国人採用方法|採用手法から助成金制度まで詳しく解説!

4. 外国人留学生がもっと就職できるようにするためには

令和2年11月24日に文部科学省が発表した調査データによると、日本における就職を希望する外国人留学生は全体の約65%を占めています。 しかし各年度に大学・大学院を卒業・修了した外国人留学生のうち、日本国内で就職した外国人留学生の占める割合は35%に過ぎません。 一方、専門学校卒業生については、日本学生支援機構発表の平成28年度の外国人留学生進路状況調査結果によると、就職率は28.0%とかなり低くなっています。 そして日本語学校留学生については、専門学校や大学に進学しなければほぼ全部の方が日本では就職できていません。(アルバイトを除く)

 つまり、日本での就職を希望したが、やむを得ず泣く泣く帰国した留学生は全体の約8割いると思われます。この現状はどのようにして解決できるのでしょうか?

4-1 解決策① 日本企業がもっと要求水準を下げること

「日本語がペラペラで、JLPT N1保有で、業務能力が高い人がほしい」 まず、外国人留学生に対して、このような無理な要求をする企業が多すぎるのが問題点です。 外国人留学生にそんな高い水準を求めたら、ほとんど面接に合格できなくなってしまいます。 日本企業が外国人留学生に求める水準をもっと現実的レベルまで下げるべきです。

4-2 解決策② 在留資格「特定技能」を狙うこと

外国人留学生が在留資格「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる技人国ビザにこだわり過ぎていることが、日本で就職できない原因になっていると思われます。 また留学生だけでなく、学校の経営者も先生も、就職=技人国だという固定観念を持ちすぎていることも問題点だと思われます。 2019年4月より在留資格「特定技能」が創設され、外国人留学生に対して日本での就職のチャンスが大きく広がりました。しかしながら、2年以上経過した現在においても、未だに就職=技人国という固定観念から、留学生も学校側も抜け出せていないのが現状です。 技人国ではなく特定技能を狙えば、外国人留学生の日本での就職率は飛躍的に上昇します。もっと在留資格「特定技能」に対する認識を深めるべきだと思います。

(資料)令和2年11月24日文部科学省調査より

外国人留学生の就職の現状①
外国人留学生の就職の現状②
外国人留学生の就職に関する課題

5. 企業人事担当者が確認しておきたいこと

在留資格変更許可申請の場合、審査の際に外国人がこれまで在留資格「留学」で在留した期間に問題がなかったかも評価されます。 特によくあるケースとしては、アルバイトのやりすぎです。「留学」では1週間にアルバイトとして働けるのは28時間以内と決められておりますが、 どの曜日から起算しても28時間以内である必要があるので注意が必要です。

残念なことではありますが、かなりの留学生が実質的には就労目的で日本に来ており、留学費用を賄うために週28時間を超えてアルバイトをしています。 このオーバーワークは一見して隠し通せるように見えますが、特に特定技能への在留資格変更許可申請の場合は、 納税義務の履行義務を果たしていたかどうかを確かめるため課税証明書と源泉徴収票の提出が求められますので、過去の悪事がほとんどバレてしまいます。在留資格変更が不許可になってしまうことがとても多く発生しています。

また、留学生時代に社会保険料を納付していなかった、または滞納していた場合についても不許可の事例が多く出ています。

この「オーバーワーク」と「社会保険料滞納」については、まずは面接で本人に必ず確認してください。もし疑わしい場合、 また事実が発覚し不許可になりそうな場合は、解決能力のある行政書士に依頼することをおすすめします。

※留学生が在籍する教育期間の校則で定められた長期休業期間に限り、1日8時間以内までのアルバイトが認められます。 その際は、日本人と同じく労働基準法が適用され、就労時間の上限は週40時間となります。 ※職業安定法で職務遂行能力・適正については必要性があれば、企業は求職者の情報を入手することはできますが、 職務遂行能力・適正と関係のない情報は入手できません。アルバイトなどのお話を聞くよりも、在留資格の更新手続きに際して、 懸念となることはないか、実際に認められなかったケースをもとに確認する方がよいでしょう。

6. まとめ

労働契約は、内定を出した・内定を出された時をもって成立しますが、実際は労働契約よりも出入国管理及び難民認定法が優先されます。 このため、採用内定外国人の在留資格が各企業の業務に応じた資格に変更できなければ、その外国人内定者は日本で働くことはできなくなりますし、 日本に滞在することさえも難しくなります。このため、外国人留学生・企業採用担当は、「在留資格の変更ができるのかできないのか」を念頭に入れながら就職活動・採用活動を進めていくことが必要になります。お互いに面接の際に不安な点があれば確認をしながら進めていくとよいでしょう。最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。外国人のよい就労・採用につながれば幸いです。